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ミサリングファクトリーが出来るまで

***当コラムはミサリングファクトリーをオープンした2007年の記録です。(一部修正)***
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ミサリングファクトリーのホームページにアクセス頂きありがとうございます。店主の松本美佐です。子どもの頃からお菓子作りが大好きだった私が趣味で始めたホームページ5年を経て、2007年5月スタジオをオープンすることになりました。
なぜ、スタジオを開くことにしたのか?どんなものを目指しているのか?自分の思いをまとめるつもりで書き綴ってみました。長文になりますが、読んで頂けたら幸いです。

1.キッズファクトリーのスタート。

2.コミュニティビジネスの模索。イル・プルーとの出会い。

3.本当にやりたいことはなにか。

4.ミサリングファクトリーが目標とすること。

5.ミサリングファクトリーが作るお菓子。

キッズファクトリーのスタート。

ヒストリーイメージ012002年、フードコーディネータの資格取得と同時に、近所の地区センターの料理室を借りて、子どものお菓子教室「キッズファクトリー」を始めました。
「キッズファクトリー」は、始めは8人だけのレッスンでした。HPを通して入会を希望して下さる方が徐々に増えていきました。自分では、近所の子供たちをと思っていたのですが、遠くからいらっしゃる方が多かったのは予想外の出来事でした。「子どものお菓子教室を探していたがなかなかなかった。」と喜んで下さる保護者の方々。毎回楽しみにして来てくれる子供たちの笑顔。駅から遠くバスの本数も少ない、駐車場も無いという不自由なロケーションにも関わらず、毎月通って来てくれるのです。その希望に応えたく、受け入れ人数を増やしていきました。仕事をしながらの週末だったので大変なこともたくさんありましたが、それでも子供たちの喜ぶ笑顔に励まされ続けました。けれど徐々に、仕事をしながらということと、地区センターという公共の施設を利用することの限界を感じ始めていました。レシピを考え試作をするなど当日以外に費やす時間、材料や器具など10キロ以上の荷物をカートで運び、ゴミもすべて持ち帰り。それだけのことをしても自分の手元にはほとんどお金が残らないような状況は、人数が増えれば増えるほど大変になっていきます。自分が楽しくなくなってきてしまっては続けることが出来ません。そうなる前に、子どものお菓子教室を事業化できないかと考え始めました。

コミュニティビジネスの模索、イル・プルーとの出会い。

ヒストリーイメージ01そんな時、女性の起業を支援する「WWB/ジャパン」と出会いました。儲けることを一番の目的とするばかりが事業ではない、自分が働いた分の対価を頂くのは当然、社会性があるならむしろやるべきだという考えは、起業など思いもよらなかった私に(出来るかも)という勇気をくれました。でも、主に土・日しか来られない子ども教室を事業化するのは現実的に難しく、大人も教える教室を作ること、菓子販売も行うことを目標に定めました。そのためにはもっとスキルが必要です。お菓子好きの主婦が趣味で教えるような教室は私の考えるものではありませんでした。本格的な修業ができそうなお菓子教室は意外に少なく、唯一ここだ!と思ったのが「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」でした。きちんとした理論に基づいたお菓子作りとの看板を掲げる頑固そうな弓田亨氏に興味を覚えました。初めは見学。レッスンは椎名真智子先生でした。そのていねいな教え方にまず感動。途中までやって出来上がりを出してくるというようなやり方はせず、時間がかかっても最初から最後まできっちりと見せてくれるのです。その様子に「絶対にここ」と確信を持ちました。おまけに使う材料のすごいこと。多くの教室や販売されているケーキはコストを考えた配合や材料を使用します。でも、イル・プルーは、高価なバニラビーンズをなんの迷いも無く1本使い、キャラメリゼするときの惜しげもなくキャソナードをふりまくります。見ているこっちがドキドキしました。(笑)"おいしいものを作る"ことを最優先に考えたお菓子作りがイル・プルーにはありました。そして出来上がったお菓子のおいしさにはびっくりを通り越して感動すら覚えました。なるほど良い素材を使うことはこんなすごいことなのか、と見せつけられた思いでした。授業料は高いし、売っているお菓子も高価です。でも、ここのお菓子を作れるようになりたい、と私は強く思ったのです。

本当にやりたいことはなにか。

ヒストリーイメージ01私は製菓材料メーカーで商品開発の仕事をしていました。商品を出す時、まず一番優先されるのは、値段です。高くては売れないし相場もあります。500円でクッキーを作るセットを作るとしたら、まずはコストに合わせた配合を考えます。それが本当においしいものではなくても「500円でこれならまあ良いだろう」という発想で商品化されます。もちろんこれが悪いというわけではありません。手軽なセットはお菓子を作り始めるきっかけになるのですから、たくさんの人にお菓子作りをしてもらいたいと思う私はこれはこれで良いものだと思っています。ただ、昔から自分が商品化したものが店頭に並んでいてもあまり嬉しいと感じたことがありませんでした。なぜだか自分でもよくわからず「実感が無いからだろう」と思っていました。でもイル・プルーに行くようになって、はっきり分かってきました。それは自分の作りたいものではなかったからです。仕事としてやってはいても、出来上がった商品は"私が欲しい物"ではないのです。

2004年、WWB/ジャパンのプロジェクトで障害者の方が作業所で作るクッキーのレシピ提供のお話しを頂きました。原料のクラッカン(シコクビエ)を買うことは、生産者であるスリランカの人々の自立支援にもなるというお話しでした。さらに作業所の方達の仕事の創成にもなります。開発の段階から携わる方々はとても熱心に取り組まれ、私自身にとっても良い経験になりました。そして、たくさんの人の思いで丁寧に愛おしんで作られたそのクッキーはヒット商品となりました。無償で提供したレシピですが、スリランカの生産者の方々、作業所で作る方々、そしておいしいねと食べてくれるお客様、多くの方々に喜んでいただけたことが心から嬉しいし、誇りに思えます。このクッキーは今食べても本当においしいと思うのです。ああ、私が欲しいのはこういう喜びだな、と心から思いました。 >>第三世界ショップクラッカンバーのご購入はこちらから。

ミサリングファクトリーが目標とすること。

ヒストリーイメージ01今は私が子どもの頃と比べても格段にものが増え、ちょっとお金を出せばたいがいのものが手に入ります。それに比べたら作るのは面倒なことです。でも、市販品の中で、本当においしいものはそんなにあるのでしょうか。雰囲気だけでなんとなくおいしいと思っても「ああ、これはちゃんとした素材を使って丁寧に作られているな」と、感じられるものは本当にありません。
言い方はちょっと乱暴ですが、そこそこの味なら「おいしい」と、もてはやされてしまう今の時代。市場からは本来のきちんとした食べ物がどんどん無くなり、私たちの味覚はどんどん鈍くなっていきます。それに比べて手作りのものは多少不格好でもちょっと味付けに失敗しても安心して食べることができます。子どもの頃から手作りのものを食べることの大切さを感じるのです。その他にも「手作りすること」にはたくさんの良さがあると思います。素材(作り手)への関心、洗い物を通じて環境問題を考えるきっかけ、組立てを考えることでうまれる思考、発想、喜んでもらえることで感じる喜びの気持ち、うまくいかなくてもまたがんばろうと思う努力の心、作ってくれた人の感謝の気持ち・・・。買ってきたお菓子では得られないことがたくさんあることを少しでも多くの人にお伝えしたい、そんな思いでいっぱいです。ミサリングファクトリーはみんなの笑顔がたくさん。子どもも大人も、手作りのお菓子やお料理が大好きな人がたくさん増えたら世の中もっとハッピーになると思いませんか?
とはいっても、あまり小難しい主張をするのは好みではないので、普段はただただひたすら楽しくレッスンをしたりみんなでおいしいもの食べに行ったり、畑へ遊びにいったり。

人が集うことで、新しいニーズが生まれ始めました。自分の思いが思っていた以上に子どもや親御さんに届いていたり、子どもからたくさんの元気をもらったり、今のキッズファクトリーはとっても楽しいです。それをもっと拡大して、大人も子どももみんなが集まれるコミュニティが、ミサリングファクトリー。子どもだけでなく、お子さんをお持ちのお母さんや、大好きな彼や家族のために手作りしたいと思う大人も同じ気持ちで集まって、楽しくお菓子を作りながら手作りの良さを実感して頂けたらと思います。私が一方的にサービスを提供するのではなく、困った時は「協力して下さい」と声をかけたりしながら、みんなで楽しい空間を作っていきたいのです。もちろん、イル・プルーのお菓子作りもお教えします。最初はちょっと大変かもしれませんが、慣れてしまえば大丈夫。きっと「なーんだ、私にも作れるのね!」と実感していただけるようになると思います。キッズファクトリーで通い始めた子が大きくなってイル・プルーのお菓子を作ったりしたらそれはもう本当に素敵。
普通のお菓子教室では飽き足らないあなたのニーズを満足させるものがミサリングファクトリーにはあるかもしれません。ちょっとおもしろそうだな、と思ったら、ぜひミサリングファクトリーを訪れて下さい。みなさんのお越しを心からお待ちしています。


ミサリングファクトリーが作るお菓子。

写真おいしいお菓子は、おいしい水と同じだと考えます。驚愕のおいしさの特別なお菓子がそんなにあるものでもないと思うし、ましてや私はイル・プルーの弓田享先生のような天才ではないので、とにかく「ああ、きちんとした素材でちゃんとがんばって丁寧に作ったな。」と思っていただけるお菓子作りをシンプルに続けていきたいと思います。イル・プルーのお菓子については、ルセットに従ってイル・プルーのきちんとした技術で作り、そのすばらしさを少しでも皆さんにお伝えできたらと思います。

2007.5. ミサリングファクトリー松本美佐